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2019年03月11日 (月) | 編集 |
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 写真は記事とは関係のないウチのクロちゃんです。

     【 エイリアン達 】 

 この小説は以前に書きました「ガイダンス」など3本の小説をまとめて書き直したものです。


 2023年という年は人類の歴史上最も記憶すべき年となった。
 それまでエリア51に宇宙人の死体が隠されているとか、アメリカ国防総省は既に宇宙人とコンタクトを取って、密かにUFOの技術を軍事転用すべく研究しているとか、旧ソ連の時代からロシアでは、その存在に気づいて、月の裏側にある彼らの基地に軍人を送り込んでいる等、真しやかな噂話がテレビの特番を賑わせて来たが、この年の6月7日、まるでムクドリの大群の様に無数のUFOがニューヨークや東京といった大都市上空に同時出現した事で人類の誰もが宇宙人の存在を認めざるを得なくなったのだ。

 勿論、予告なく現れたこれらの招かざる客達をただ呆然と見ていた訳ではない。すぐに各国の空軍が追い払いにかかったが、UFOの速度は想像を絶しており、さらには予測できない角度で旋回し、最新鋭の戦闘機でさえ翻弄されるばかりだった。中には有無を言わせず地対空ミサイルで撃退しようと試みた乱暴な国もあったが、それらのミサイルは一発として当たらず、空中で炸裂もせず、後にネバネバしたシートで丁寧にラッピングされて、基地に送り返されるといった屈辱を得た。

 圧倒的な実力差を見せられた人類は宇宙人に対する抵抗を無意味と判断した。さらに、UFOの側からは、これまで一切攻撃を仕掛けて来なかった事から、彼らの目的が侵略ではないと希望的観測をした事により、この上はできるだけ穏やかにコンタクト(接触)が取れるようにと軍を引いた。

 果たして翌6月8日、ニューヨークの国連本部上空にマンハッタン島を覆い尽くす程の巨大な母船が出現し、そこから小型のシャトルが一機降りてきた。

 各国の国連大使達が固唾を飲んで見守る中で姿を表したのは・・・、

①  水の惑星からやって来たのか、半魚人の様にウロコで覆われた鮒顔の宇宙人だった。
②  身長3m、キノコの傘状の頭で全身が滑(ぬめ)った、異形の宇宙人だった。
③  まるでエジプトピラミッドの壁画にある人物の様に細身で獣頭の奇妙な宇宙人だった。


①と思われる方は《 空から降りてきた魚 》の章へ
②と思われる方は《オリエンテーション》の章へ
③だと思われる方は《最後の審判員》の章へにお進みください。


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   《空から降りてきた魚》

 それは昔の映画にあった『半魚人』に似た姿をしていた。

 鮒のような顔で、全身が鱗で覆われた二足歩行の宇宙人! 服らしきものは着用せず、背中に担いだボンベから伸びたチューブを鼻に差しているだけ。

 その冗談のような絵面に、誰もが我が目を疑ったが、そもそも国連本部・平和の鐘横の広場にUFOから発射されたシャトルが着陸している事自体が信じられない光景だった。

 とはいえ、遥か銀河の彼方から訪れた使節を放っておく訳にはいかない。
 国連における宇宙局はウィーンにあり、異星人との接触は宇宙空間事務所(UNOOSA)局長マ◯ラン・オスマン氏が担当する事になっていたのだが(本人は公式には否定)彼女はこの時、ニューヨークにおらず、また宇宙空間事務所自体が形式上の機関であった為、事務総長が駆り出されることになった。

 事務総長は、映画・マーズアタックのような悲惨な目に合わない事を願いつつボディランゲゲージで必死に親愛の情を表して、おずおずと宇宙人達の前に進み出た。すると彼らの一人が事務総長の差し出した手を握り、ハグしたのだった。
期せずして群衆の間から拍手が巻き起こったのは言うまでもない。
 人類は初めて異星の客と心を通い合わせたのだ。

 というわけで国連では緊急に宇宙から来た親善使節をもてなす準備が進められたのだが、高齢のオスマン博士に代わり、実際に宇宙人を接待する役目を担う人選を巡って紛糾した。なにせ相手の文化も分からず、言葉も通じない為、ボディランゲージから基本的な言語の収拾を図るという役目まで担わなければならないからだ。

「職員の中に一人、空石加奈子という天才的な語学力を持った女性がいるんですが・・・、彼女はさらに、学生時代にはメイド喫茶で働いていたというキャリアもあります」 
 安全保障理事国の日本代表がこう述べると、

「空石さんですか。確かに彼女は有能だが貴国の食文化を考えると、魚型の宇宙人の接待係というのはまずいのでは? もしスシでも食べさせて激怒されたらどうするんですか」
 と、常任理事国のフランスが懸念を表明した。

「こんなことなら、1977年にグレナダのゲイリー元首相が宇宙人対策を提唱した時にもっと真剣に討議しておけばよかったものを」
 同じく常任理事国のイギリス代表が愚痴ると、

「宇宙人とか超能力等を最も軽視していたのはイギリスとフランスではないのかね」
 と、これも常任理事国のロシアが皮肉るという始末だった。

「それよりも、本人がこの役目を担ってくれるのかどうかをまず聞くのが先決ではないですか? あのような恐ろしい相手を接待するのは若い女性には酷だと思いますが?」
 安全保障理事国・アフリカ選出のナイジェリア代表が冷静に言った

「では彼女が引き受けてくれるかどうか尋ねてみましょう」
 日本代表が言った。すぐに空石が呼ばれ、本人の意志を確認すると、
「やります! ぜひやらせて下さい。私はお魚が大好きなんです!」
 と、快諾した為に、臨時ではあるものの接待係はこの若い日本人女性に決まった。

 空石が国連本部内に急きょ設けられた特別室に入ると、宇宙人達は部屋の中に運び込まれた巨大なジャグジーの中で水浴びをしている最中だった。

「マイ ネーム イズ カナコ(国連の公用語には日本語が含まれない為)」
 と、空石がボディランゲージで伝えると、最初宇宙人達はポカンとしていたが、やがてその中の一人が、それが名を現すものと認識したようで、立ち上がり、
「ブゲゲ ベドベケ ボマブファ」と言った。

 別の一人は「ブゲゲ ベドベケ ギジョマ」と言い、最後の一人が「ブゲゲ ベドベケ デシャポ」と言ったので彼ら(もしくは彼女達)の名前がそれぞれ、ボマブファとギジョマとデシャポであることが分かり、同時に、ブゲゲもしくはベドベケのどちらかが『私』にあたることが分かった。

 こうしたボディランゲージのやり取りの中で、空石はわずか数時間で彼らと簡単な会話を交わすことができるようになった。

 その中で分かった事だが、彼らは(ボマブフイア達は全員男性らしい)星間連邦とでも訳される宇宙共同体から派遣された代表で、惑星の外にロケットを飛ばせるようになった人類が共同体の一員としてふさわしいのか、あるいは監視対象とすべきなのか、もしくは知的生命体に値しない存在なのかを見極める役割を負ってこの地に降り立ったらしい。

 その場所が奇しくも国連本部だった訳は、地域を表すシンボル(旗)が最も多く並べられているのを、事前情報として掴んでいた為のようだ。さらに空石は、彼らがどの星から来たのかを尋ねると、それは最近地球で存在が確認されたばかりの惑星・ケプラー186fで、(彼らの呼び名はトララ。従って彼らはトララ星人といえる)宇宙的規模でいうと、ついお隣の惑星である事が分かった。それと彼らトララ星人の食事は地球時間だと週一回程度であることから、滞在中の食事を用意する心配もないという事だった。

 わずかな時間で、これだけのコミュニケーションを取った空石に世界は驚愕し、彼女は正式な接待係に任命された。

 翌日、全世界のマスコミが注目する中、通訳の空石を交え常任理事国5カ国の国連大使とトララ星人が顔を合わせる事になった。
「ベベドラ バブシャ キラキド アメリカ、ロシア・・・」
誰にも分からないトララ語で大使達を紹介する空石に各国代表は一抹の不安を覚えつつ、運命を委ね、558光年離れた惑星から来たトララ星人と会談を行った。

 その結果、この半魚人のような外観のトララ星人は意外に紳士的で、ようやく惑星外に歩みだしたばかりの幼い文明しか持たない人類に対して好意的である事が分かった。

 話は星間連邦に属する宇宙人達の地球への観光や、人類に対する技術移転等にまで及び、「これほど短時間で文明の異なる者同士が意思疎通できるとは! 空石さんのおかげだ」
 と、アメリカの国連大使が大絶賛した。

 会談は和やかなムードで行われたが、一度だけ場が緊張する事があった。それは、
「ボコマ ベッテリ パムパウ メント(地球人はどんな物を食べているのですか?)」
とトララ星人が聞いた時、空石が「ブゲゲ メント スシ ラル(私はスシが好きで、よく食べます)」と答えた時だった。言葉自体はわからなくとも、そのやり取りの意味が不思議に大使達にも分かったのだ。

 しかしその心配は杞憂だった。地球人が同じ哺乳類を食べる事があるように魚類に近いトララ星人も同じ魚類を食べる事が分かったからだ。
 大使達はホッと胸をなでおろした。

 今回の使節は、あくまで星間連邦からの公式使節団に対する、先鞭をつけるのが目的である為、滞在は明日の予定という事だったので、今夜は国連本部内でささやかなパーティが開かれる事になった。

 通常であれば使節団の労をねぎらう為に、ハリウッドスターや美しいホステスでも呼び、お世話をさせるところだが、彼らは人間ではない。どんなおもてなしをするべきなのか、文化人類学者も交えて考えた挙げ句、一応聴覚があるようだからストリングスの演奏なら喜ばれるのではないか、魚類に近い人達なのでバニーガールよりも、水槽を置いて美しい観賞魚を置いてみてはどうかという話になった。その観賞魚についてもトララ星人の容貌が鮒に似ているので、金魚が良いのではないかという結論に達した。

 かくて近郊から、よりすぐりの金魚が集められパーティ会場の大きな水槽に放された。

 トララ星人は地球の音楽に心惹かれたようで、矢継ぎ早に楽器に対する質問をしてきた。これはおそらく彼らの惑星ではあまり音楽が発達していないのだろうと推測された。

 パーティが進むうち、やがてトララ星人は会場の隅に置かれた大きな水槽に気づいた。
 中にはいずれも20㎝を超える最高級で色とりどりの金魚達が泳いでいる。ランチュウ、オランダ獅子頭、頂点眼、水泡眼、いずれも惚れ惚れとするような美しい金魚だった。

「デポハ(これは?)」
 文化人類学者が「人から見ても美しい金魚達は鮒に近い彼らには天使に見えるでしょう」と語った通り、トララ星人は金魚に興味を示したようだった。

 空石は、それが金魚というもので、元は目立たない川魚だったが、人間が千年もの時を経て改良し、このような美しい姿にしたのだと説明し、地球人がいかに美しい金魚を愛しているかも補足説明した。

「ザッシュ デポパ テラルー メケネベク(つまりこれは人間が作ったものなのですね」
「アイヤー ザザック ベッテリ ユル テラルー クエ メケネベク シュラシュラ (そうです。人間が作り上げたもっとも美しい生物と言えます)」
空石は、美しいという言葉を強調した。

 トララ星人の表情は読めないものの、かなり金魚を気に入ったのか時の経つのも忘れて魅入っているように見えたので、金魚を勧めた文化人類学者と空石はハイタッチをした。

 翌日、シャトルから母船に戻る彼らを見ようとタートル・ベイ近くの沿道には観衆が押し寄せた。誰もがマスコミを通じて異星からの使節団との間に友好関係を築けた事を承知しており、これから訪れる新しい時代に思いを馳せているようだった。

 トララ星人達もそれに答え、手を振りながらシャトルに乗りこんだ。
 国連事務総長も、今回の接待がうまくいった事を確信したようで、地上を離れていく彼らのシャトルを見送りながら、空石の耳元でグッジョブと囁いた。

 全てがうまくいったように思えた今回の接待だったが、空石には一つだけ気になる事があった。

 それは、トララ星人の一人、ボマブファがシャトルに乗り込む直前、隣りにいた同じトララ星人のデシャポに向かって押し殺した声で耳打ちをした一言だった。

 彼は、大勢の見送り客を指差し「テラルー ベッテリ クエ ベツベク (やつらも美しくしてやるか)」と言ったのだ。

               ( 空から降りてきた魚 了 )

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    《オリエンテーション》

ザブト・バッキャは見た目がちょっと怖い。

 身長が3メートル少々、体重は約400キロ。表面が粘液で滑った灰色の肌、頭の周りに均等に散らばった8個の目は落ち窪んで白目がち。鼻の穴はやたら多く口は中央の肉柱を起点に360度どこからでも開く。

 そう、ザブトは地球人ではなく、星間連邦でも屈指の文明星、キハナブラ星人なのだ。

 だが、その見た目とは裏腹に五等級文明しか持たない地球人に対しても実に紳士的で、日本政府・交渉人(ネゴシエーター)の荻野昌に対しては英語ではなく、流暢な日本語で丁寧に星間連邦の取り決めを説明してくれた。そればかりか取材する記者達にも恐怖感を与えぬよう声量を抑えて穏やかに、また誠実に質問に答えていた。

「連邦では遺伝子操作が禁止されているので、こういった植物の栽培は違法になります。掛け合わせの品種改良はケースバイケースといったところでしょうか」

 ザブトは遺伝子組み換えで巨大化したナスビを、細くて長い手に取って言った。

「例えて言うならば人間がミルクを絞らなければ乳房が際限なく膨らむ牛とか、毛を刈らないと動きが取れなくなる羊等は自然界に存在してはいけないと規定されているのです」
 記者達はザブトの言葉を一言も漏らすまいと、マイクを彼の口らしきものに向けた。


 数ヶ月前ニューヨーク国連本部前に宇宙人が降り立った。

 どんな恐ろしげなエイリアンが現れるのだろうと見守る各国国連大使や大勢の見物人の前に姿を表したのは、ハリウッドのSF映画でさえお目にかかったことがないほど異形のエイリアンだった。

 しかし、当初はその姿に衝撃を受けた担当の国連職員も地球の言葉を話し、態度も紳士的なこの宇宙人にしだいになれていった。それどころか星間連邦における主要な構成星のうち、キハナブラ星が人類の指導担当に選ばれたのは幸運だったとさえ思うようになった。

 というのも理事惑星の中にはあからさまに低級文明をネグレクトする星もあるようで、無作為に選んだ非征服民の中に不満を抱く者がいれば、即刻惑星自体を破壊するという凶悪な事でも平気でやってのけるらしい。その点キハナブラ星人は親切で日本にザブト・バッキャを派遣したように他の国々にも満遍なく指導員を派遣し、人類がうまく連邦規定に適合できるように努力してくれている。

 それゆえ、人類もキハナブラ星人の期待に答え、地球時間で十年という猶予期間の間に連邦への加入条件を整える必要があった。もしそれができなければ人類には等外文明種に降格という暗い運命が待ち受けているのだ。

 ここでいう級外文明種とは監視対象種族もしくは知的生命外種を指す。一例を上げれば、恒星カンビウスの第二惑星人は夜郎自大で、連邦の要請に従わなかったばかりか、説得の為に派遣された理事惑星の要員を切り捨て路上に晒した事で、知的生命外種と見なされ、狩猟ゲームの対象にされてしまった。

 今では文明そのものも失われ、家畜級種族に格下げとなったカンビウス第二惑星人は、肉はアンタレス周辺にある宇宙レストランの各店で名物パイの材料に、皮は安価な敷物として連邦各地の家具屋で売られているという。
 要するに、『連邦規約』をクリアーする事は人類にとって至上命題なのだ。だからこそ、日本でもザブト・バッキャの指導を忠実に実践する必要があった。

 ザブト・バッキャはなおも語る。

「勿論、地球人にも生命倫理に関する基準はあるかと思います。しかし荻野さん、ここは異を唱えず私の言う事に従って下さい。遺伝子操作種や、全面的人間依存型の家畜等は、これ以降生産してはなりません。ですが、今いる個体が命を全うするのは待ちましょう」
「というと、ホルスタインのような牛、メリノ種のような羊等、今生きている個体を抹殺しなくて良いのですね」
 荻野は少しホッとした。

「当然です。彼らだって生きています。必要でなければ殺処分する事はありません!」
 ザブトのその言葉は、荻野や秘書官、そして周りの記者達にも大いなる希望を与えた。

 この恐ろしげな風貌の宇宙人が意外にやさしい心を持っている事が分かったからだ。

「もう一つ、外来種は本来の生息地に戻すこと。これはそうしないと元々その地域にいた、同種の生物の絶滅を招くからですが、地球ではどのように規定されていますか?」
「地球でもそれが理想と考えられています。ですが・・・」
 荻野は答えに詰まってしまった。というのも日本中のアライグマやアメリカザリガニやブラックバス、ミドリガメ等を全部捕まえる事すら困難なのに、それらを『生きたまま』本来の生息地に返す事など出来ようはずが無いからだ。種によっては捕らえ次第、殺処分にされている。だが、もしそれを言ってザブトを怒らせてしまったら・・・。

「おや、実行されていないのですか?」
 ザブトは不思議そうに尋ねた。
答えに窮した荻野に変わって答えたのは一人の某新聞・記者だった。
「我々もそうしたいと思ってはいるんですが、数が多くて技術的に困難なんです。例えばブラックバスでは釣り上げた個体を持ち帰って食べるか殺処分し畑の肥しにしています。それでも全てを捕獲できません」

 するとザブトは「なるほど。よく分かりました。確かに現在の人類の技術では困難かもしれませんね」と大きく頷き、
「ならば、我々がお手伝いしましょう。ヒハナブラ星のボランティアは染色体レーダーを持っており、潜んでいる外来種も上空から簡単に発見し捕獲できますし、捕らえた個体を一挙に原産地まで運ぶ技術もあります。うまくいけば数ヶ月で日本中のアライグマやウシガエルをアメリカに送り、向こうからは野生化して増えてしまったニホンザルや葛、桜等を日本に送り返すことができます」
 その言葉に荻野は少し引っかかりを感じた。

「桜? もしかして1912年に日米友好の為ワシントンDCに送った桜まで日本に戻すということですか?」
「あのサクラはSSR比較法で日本原産種のソメイヨシノと分かっていますので」
「いや、しかし。それは・・・」
「荻野さん、残念ですが星間連邦は例外を認めないのです。同じ様に日本中にあるサボテンはメキシコに、シクラメンはヨーロッパに送り返すことになります」

 さっきケースバイケースも有り得ると言ったんじゃないのか? いやそれよりも、元々日本の自生種ではなかったジャガイモ等の野菜類はどうなるんだ? 
 荻野は言いようの無い不安に包まれたが、それを言い出すと、さらに恐ろしい事態になりそうだと思って口をつぐんだ。

「それから、言いにくいのですが、人間、要するにあなた達ホモサピエンスが、アフリカ原産であるのはご存知ですね。およそ10万年前の話になりますが」
 ザブトはとんでもないことを言い出した。

「いや、だって渡り鳥や回遊魚等、人為的に運ばれて来たのではなく自主的にやって来た、あるいは自然に種が飛ばされて自生した生物は別ではないですか?」
「荻野さん、もしかしてホモサピエンスが自主的に海を渡ったとお考えなのですか?」
「え、ええ我々はそう認識しておりますが・・・」
「あなた達が知らないのも無理はありません」
 ザブトは大きなキノコ状の頭を前後に振って、いくつもの鼻からため息を吐き出した。

「ですが残念ながら、荻野さん達のご先祖のホモサピエンスを各大陸に運んで来たのは、あなた達が『グレイ』と呼んでいる不良宇宙人なんです。本来ヨーロッパにはネアンデルタール人が、インドネシアにはジャワ原人が、中国には北京原人が、この日本には明石原人が住んでいました。それらを根絶やしにする形でグレイ達が霊長類の移植実験を行っていたのです。この辺りがあまりにも辺境である事と、グレイ達が実験を巧妙に隠していた事から我々がその事を知ったのはつい最近でした」
 それは驚くべき話だった。

「そんなバカな。ネアンデルタール人はともかく、他の原人はホモサピエンスと時代が違う! ホモサピエンスが登場するはるか前に滅んだ原人もいるじゃないですか」
 そう口を挟んだのは某週刊誌記者だった。

「実は滅んだのではなく、グレイが他の惑星に移して進化実験をしていたのです。従ってネアンデルタール人も明石原人もグレイが連れて行った惑星で生息が確認されています。彼らとてこの星の原産ですから、地球の元の生息地に戻ってもらわなくてはなりません。要するに、ネアンデルタール人はヨーロッパに、明石原人は日本にという訳です」
「するとザブトさんは、ホモサピエンスである我々全員がアフリカに戻れというんですか」
 荻野は感情を押し殺して冷静に尋ねた。

「私が命令するのではなく、これは連邦規約なのです」
「バカな! 80億人もいる人類全部をアフリカに閉じ込めるというのか」
 一人の興奮したテレビクルーがザブトに詰め寄ろうとしてガードマンに制された。

「正確に言えば、今のサハラ辺りです。南部には同じ霊長類のゴリラがいますので」
「しかし今の人類ならばすぐにアフリカを自主的に出て、元の国に戻って来ますよ」
「星間連邦は千年間、それを禁じます」

「それでは我々は飢え死にしてしまう!」
 先程のテレビクルーがガードマンの静止を振り切ってザブトの前に出た。
「大丈夫ですよ。我々の手で少し間引いて差し上げますから」
 そう言ってザブトは巨大な口を開き、その記者を丸呑みにした。

                       ( オリエンテーション 了 )
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     《最後の審判員》

「う~む、これは・・・」
 河上総理が内閣情報調査官の田代が差し出したファイルを見て絶句した。

 そこには官民問わず数千人を動員し、わずか一週間で仕上げた『吉岡雅也』に関する、(生まれてから四七歳になる今日までの)詳細な記録が書き込まれていた。
「概略を述べてくれ」
 佐竹官房長官が言った。

 田代は内閣の主要閣僚と公安関係者、アメリカ他、数か国の大使の前で『吉岡雅也』の略歴及び現在の状況を読み上げた。
「吉岡は七歳の時に両親が離婚、その後は母親に育てられています。生活は貧しいながらも、仲の良い親子でした。しかし小学校・中学校を通じて壮絶なイジメにあっています」
 イジメという言葉を聞いて数人が顔をしかめた。

「それは担任の証言なのか?」官房長官が尋ねた。
「そうです。彼の小学校の担任は、当時採用されたばかりで、吉岡をよく覚えていました」
「ガッデム!」アメリカ大使が忌々しげに言った。

「続けてくれ」
「きっかけは朝礼で放った校長の一言のようでした。吉岡は少し歯が出ていて、普段の顔が笑っている様に見えるのです。自分の訓話をまじめに聞いていないと激怒した校長は、『そこのクラス、ふざけてるんじゃない!』と、怒声を発しました。その事で、クラスの数人の子供達が『お前のために怒られたじゃないか』と因縁を付けたのです」
「アンビリーバブル」と言ったのはイギリス大使だった。
「日本ではそんなことで、全体が責任を問われるのですか?」
「いえ、クラスの子らは、安全にイジメる事ができる生贄を探していただけのようです」
 つまりその瞬間に、吉岡は学級カーストの最下層に置かれたのだ。

「ただし、彼はめげませんでした。場を和ませる為に笑顔を絶やさず、また当時テレビで流行っていた、『なんちゃって』等のギャグを連発し、クラスメイトと仲良くなりたいと努力したようです」
「で、結果は?」官房長官が促した。

「まさに火に油でした。それはクラスの中心人物の野島や三浦をさらにイラつかせました。彼らは教育熱心な両親の元、有名私立中に入るよう厳しいプレッシャーをかけられており、ストレスが貯まっていたのです。野島はあの頃を振り返って、まるで催眠術にでもかかったように吉岡に腹をたてていたと言っています」
「つまらんギャグの連発か・・・。フン、確かにそれはイラつくかもな」
 自身はエリートコースを歩んできた大山文部大臣がポツリと言った。

「吉岡にとって不運だったのは、野島や三浦達と中学時代も一緒に過ごさねばならなかった事です。野島達は受験に失敗して以降、生活も乱れていました。吉岡は学内では毎日のように暴行を受け、外では野島達の遊興費を稼ぐ目的で、万引きをさせられていました。それにより吉岡は何度か補導され、引き取りに来た体育教師から今では考えられない程の暴行を受けています。それでも彼は万引きの訳を語らなかったようです」

「小中学校で九年間も加害者と過ごすのはいじめられっ子にとっては悲劇だな。だが中学卒業後、吉岡は就職できたんだろ。すぐに辞めたようだが・・・」
「ハイ、どう言えば良いのか・・・、人には誰からも攻撃の対象にされ易い者がいるようで、この吉岡が正にそれです。彼は入社して早々、社訓を読む表情がニヤけていると社長から怒鳴られた事で上司が社長の気持ちを忖度し、厳しい訓練で知られる社員研修会社に身柄を預けられました。そこで吉岡は教官から激しい仕打ちを受けたのですが、例によって彼は、その場を和ませようと『なんちゃって』等の冗談を言ったのです」

「そりゃ大変だねえ・・・」飯島法務大臣が思わず失笑し、口を押さえた。
「元々、軍隊教練のような場でしたから教官は激怒し、危うく吉岡は殺されかけました。その後、研修会社は吉岡の上司に『この人物は将来に於いても全く見込み無し』と書いて寄越したのだそうです。その結果、吉岡はクビになりました。しかも、どうせ辞めていく人間だからと、当時捜査の対象になっていた使途不明金の責任を押し付けられたようです。後から、それは古参の事務員が株の損失の穴埋めに横領していた事実が判明しています」
「はあ・・・」
 小辻財務大臣がため息を付いた。

「で、その後は?」
「吉岡は懲戒処分を受けた事で、新しい職が見つからず自宅アパートに引きこもります。その八年後に母親が死去。家賃が払えず二十七歳でホームレスになりました。以来二十年、大阪のあいりん地区で、時々は日雇いをやりながら、西成労働福祉センター脇で路上生活をしています」
田代調査官が残念そうに唇を噛んだ。


 数ヶ月前、ニューヨーク国連本部前に宇宙人が降り立った。

 どんな恐ろしげなエイリアンが現れるのだろうかと見守る各国国連大使や大勢の群衆の前に姿を表したのは意外にも小柄な女性の姿をした宇宙人だった。しかも獣の仮面を付けたその姿は人類の誰もが見知った古代エジプトの壁画に描かれたキャラクターと似ていた。大方の人々が少し安心した瞬間、ニューヨーク博物館に務める女性学芸員が悲痛な叫びを上げた。「大変、セクメトだわ!」
 それは古代エジプトの神話に現れる最凶の女神・セクメトそっくりだったのだ。

 セクメトは、どう対応してよいのか分からずに立ち尽くす国連事務総長の前に進むと、記録用のタブレットを持った職員を無言で指差した。彼女はそのタブレットを見るように指示すると、踵を返してシャトルに戻り、そのまま空に消えた。
 彼女が指し示したタブレットには、画面全体にヒエログリフ(象形文字)が表記され、それが宇宙人達のメッセージになっているようだった。

 国連を始めとする国際機関が全力で文字を解析した結果、そこには恐るべき内容が記されていた。要約すると彼女達は、間引きを担当する宇宙人で、対象の文明を存続させるか滅亡させるかは、その構成員(つまりは地球人)から無作為に三名を選び出し、その者を審判員として自由意志で存続か滅亡かを決定させるという事だった。

 人類自らが運命を選ぶのであれば、滅亡はあり得ないと思われるが、補足説明によるとこの試練は古代エジプトのプトレマイオス朝時代にも一度行われており、その時にはテーベの奴隷が滅亡を選択したものの、他の二人が存続を選んだ為に人類はまびきを免れたとあった。つまり、くじ運悪く、へそ曲がりか、生きていく事に絶望した人間が二人選ばれてしまえば、人類は滅ぼされてしまうという事になる。

 いったい誰が選ばれるのか?
 人類全体が不安を持って経緯を見守っていた処、十日前になってようやくアラブ王族のイブン・フセイン、アメリカ人のキャサリン・ベッカード、日本人の吉岡雅也という名前が、世界中のパソコンにヒエログリフ表記で発表されたのだ。

「一人は日本人なのか。ならばすぐにこの人物を探し出して晩餐会に呼べ!」
 河上総理がそう命じたのは、当然だった。
 しかし人物の身元が分かった時点で、既に身柄を確保する事は不可能だった。
 選ばれた三名は発表直前に『UFOにより空に巻き上げられた人』としてユーチューブに載せられていたのだ。
 かくなる上は発表された人物の素性を洗い、分析をするしか手立ては無かった。

 ただ、三人が三人共、アメリカ、日本といった裕福な国の国民+アラブの王族という、経済的に恵まれた人達である事は誰の目にも幸運に思えた。が・・・、
確かに石油によって贅沢に暮らすアラブの王族イブン・フセインが滅亡に一票を投じるのは無いだろうが、アメリカ人のキャサリン・ベッカードなる人物は相当厄介な人である事実が判明した。彼女は、ハルマゲドンを待ち望むカルト教団の教祖だったのだ。
要するに残る一人、吉岡雅也こそが人類の運命を決める、希望の星といえた。

 それなのに・・・、

「よりによってホームレスか・・・」
河上総理が頭を抱えた。

 しかし、吉岡についてポジティブな見方をする者がいた。アメリカ大使の後ろに控えていた男で、穏やかな表情とは裏腹に、鋭い眼光を持った男だった。
「我々の分析では王族のフセインは今の生活に満足している為、クリアーできるでしょう。キャサリン・ベッカードは、今回の事を最後の審判と捉えるでしょうから、滅亡に一票を投じるはずです。残るミスター吉岡によって人類の存続が決まりそうですが、彼は今まで二度の自殺未遂を犯しているものの、他人を巻き込まない配慮が見られました。今回のみ全世界を巻き込もうとは思わないはずです」
「君は?」
「失礼しました総理、私は今回の事件でアメリカより派遣されました、FBI行動分析課ホッチナスというものです。我々の分析ではミスター吉岡は存続に一票を投じるはずです」

「総理、私も同意見です」と発言したのは佐竹官房長官。
「吉岡はこれまで常に迫害を受けていますが、復讐を企てた事は無いようです。子曰く、貧して怨み無きは難し。富みて驕る無きは易し。いやはや、彼は大した人物ですよ」
「しかし佐竹君、吉岡は宇宙船に空中転送されて自分が審判員だと分かったはずだ。つまり絶大な力を持ったことが認識されたはずで、これまでのように復習に失敗すればどうなるかを考える必要が無いという事じゃないのか?」
「心配しなくていいと思います。今回地球を救えば、それまでの彼の生活は一変します。おそらく日本だけでなく、世界中でVIP扱いになるでしょう。彼だってバカではない。こんな千載一遇のチャンスは逃さないはずですよ」
「それもそうだな。ならば我々は吉岡審判員が帰って来た時の叙勲の準備をしよう」
「我々もレジオンドヌール勲章を与えますよ」
 そう言って笑ったのはフランス大使だった。

「セクメトはファースト・コンタクトからちょうど一年後の6月8日、グリニッジ標準時、正午に結果を発表すると通告して来た。国民には吉岡さんを信じ、安心して待つよう報道しておきたまえ」
 河上総理は、居並ぶ閣僚や大使達に向かい、重々しく言った。

  そして運命の日・・・。

  地球の全ての都市が闇に閉ざされ、空に巨大なスクリーンが出現した。
 そこに映し出されたのはイブン・フセイン、キャサリン・ベッカード、吉岡雅也の顔。
 フセインが手を振り何かを指差して微笑んでいるところを見ると、彼らにも地上の人々の様子が見えるようだった。
 フセインのにこやかな表情は人々に安心を与え、アメリカ大統領はホワイトハウスの窓から見上げながら側近に「この事が終わったら、あの大統領以来制限してきたイスラムからの移民をもっと増やしても良い」と呟いた。
 一方で、目を閉じ、一心に祈るキャサリンの様子は人々に不安を与えたが、右端の吉岡が微笑んでいた為、どうやら二対一で人類の存続は間違いないようだった。
 吉岡は幸運な男だ。彼のその後の人生は一変するだろう。既にこの時、日本だけでなく世界中から数千人の女性が彼に熱い視線を送っていた。彼は世界を救う英雄であり、そのキャラクター価値によってスポンサーも付き、映画化もされ、数千億の金が転がり込んで来るだろう。そしておそらく近日中にタイムズ誌の表紙を飾る男となるだろう。

 世界中の人々が見守る中で審判が下されようとしていた。

 予想通りアラブの王族、フセインは彼の臣民だけでなく世界の人々に向けて慈愛を込めた表情で「私はこの世界の存続に一票を投じる」と力強く告げた。不思議な事に彼の話すアラビア語は、中国人にもブラジル人にも日本人にも母国語のように内容が理解できた。

 そしてまた予想通り、ベッカードは「この世界に今、審判が下される。神と共に有る者は天国への扉が開かれ、不信心者は地獄に落ちる。ソドムはたった今消滅する! 私は神の名の下にこの世界に終わりを告げる。滅亡!」
 その瞬間世界中でかってないブーイングの嵐が起きた。
 これで一対一。予定通りの展開だった。

 残るは吉岡一人。
 地球の人々は、それぞれの国の報道機関を通じて、彼の悲惨な生い立ちにもかかわらず人を恨まない性格を伝えられており、明るい希望と共に彼の名を連呼した。
 だが、彼の顔が先程と違って険しい。
 吉岡は、まるでヒットラーの演説のように押し黙ったまま、1分近く沈黙した。
 そして、おもむろに口を開く。
「地球は滅亡!」

「な、なんだとー!」
 全世界の人々が驚愕した。

「なーんちゃって、ウソウソ。俺はこの世界の存続に一票を・・・」
 だが、セクメトは最後まで聞いていなかった。

「△◯☓%◇!(あい分かった)」
 地球全体を揺らすようなセクメトの声が響いた。その言葉はおそらく古代エジプト語で語られたのだろうが、不思議にも世界中のどの国の人々も母国語のように感じ、その意味も理解できた。
 すなわち吉岡の冗談は宇宙人に無視されたのだと。

 やがて火星の背後にあるアステロイドベルトの中から、直径4キロ程の小惑星が地球に向かって移動し始めたという報告が天文台よりもたらされた。

        ( 最後の審判員 了 )
                     
 

   
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2018年11月21日 (水) | 編集 |
 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンのクリスマス
 今年はUSJのクリスマス企画「天使のくれた奇跡」がラストとなるそうなので観てきました。
DSCN0623.jpg
ゲート付近は照明色を抑えてあったのですが・・・
入るといきなり世界一の規模を誇ると言われるクリスマスツリーが見えてきます。

b001_2018112115001932a.jpg
 これなんですけどね。イルミネーションが赤や青に変色してとても綺麗で見入ってしまいます。
b003.jpg
「天使のくれた奇跡」のステージは入って直進突き当り手前左側のターミネーター劇場の並びにあります。これは平日のステージが終わった後の写真もなります。(この後パレードがあるので、お客さんはまだ座っています)
b007.jpg
ステージはこんな感じなんですが、ここは無料席なのでかなり後ろです。渡辺兼さん風に言うと「ステージが小さすぎて見えなーい!」と叫びたくなります。
b004.jpg

横を見れば、スパイダーマンの建物の前もいっぱいです。もし無料席で観る場合は1時間くらい前から少しでも良い場所を確保しておいた方が良さそうです。
DSCN0645.jpg
 ともあれ、こんなふうに景色が変わったり、

DSCN0665.jpg
こんなふうに輝いたりして綺麗でした。しかもステージの最後には花火がバンバン上がります。
無題
 ちなみに上の写真はUSJがホームページで紹介している参考写真。
有料の席で観るとこんなにも綺麗なそうなので、余裕のある方はぜひ有料席で観ることをお勧めします。料金は入場料プラス1300円(税込み)、プレミア席は3300円(税込み)だそうです。


b002.jpg
なお、USJでは、この場所に限らず色々なエリアでもクリスマスイベントをやっています。(写真はハリーポッターエリア)みなさんもぜひ、このシーズンにUSJに言ってみて下さい。

 この動画は期間限定公開だそうです。

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2018年07月21日 (土) | 編集 |
 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに入り浸り(後編)

 さて前回に引き続き、今回は後編となります。
まずはミニオンパークから。
c005_20180720163527c26.jpg
 この一画は全てがミニオンっぽいハチャメチャ感が漂っていまして、建物の壁面もこんな感じになっています。
 ここにはライドが2つ。ひとつはできた当時は3時間待ちといわれた「ミニオン・ハチャメチャ・ライド」
ミニヨン・ハチャメチャライド
 これはいわば、今は無い「バックトゥーザフューチャー」の進化系ライドとなっていまして、設定としてはミニオンになりたいゲストが怪盗グルーによってミニオンにされ数々の試練を受けるというもの。とても楽しいライドです。

ミニヨン・ハチャメチャアイス
 もうひとつは「ミニオンのハチャメチャアイス」。これはミニヨンが池を凍らせてしまったという設定で、雪上車(?)に乗ってくるくる周ります。ぶつかりそうで、ぶつからない予測し辛い動きをします。

バックドラフト
 ミニオンパークからサンフランシスコエリアに入ると、開園当時から今も残る「バックドラフト」があります。久方ぶりに入ってみて、何故これが今もあるのかがよく分かりました。やはり火災の演出はものすごい迫力でした。

 DSCN0374.jpg
  その先を行くと、これも開演当時からあるエリア。ジュラシックパークです。
DSCN0376.jpg
 大型のゴムボートに乗って、ジュラシックパークを観光しているうち、なんだか様子が変だなと気づくという設定。
 この写真を撮った日はまさに様子がおかしくボートが渋滞していました。しかし、こうした事も面白さのひとつかもしれません。

DSCN0373.jpg
 このジュラシックパークエリアで大人気なのが「フライングダイナソー」宙吊りになって乗る大迫力のジェットコースターです。
DSCN0372.jpg
 私が案内されたのは最後尾の八列目。ここなら怖くないかと思っていたんですが、実は最後尾はものすごいGがかかるので、最もキツイ場所だったようです。この場所に当たったら運命だと諦めて下さい。
ジュラシックパークのあるエリアを抜けると見えてくるのはでっかいサメのオブジェが見えます。
DSCN0383.jpg

 ここはアミティビレッジと言われるエリア。リニューアルされた「ウォーターワールド」と「ジョウズ」のアトラクションがあります。
DSCN0385.jpg
ジョウズは観光船に乗ってアミティビレッジを巡っていると、ただならぬ異変が起こっていることが分かり、眼の前に巨大なサメが現れるというアトラクション。ガイドが銃をぶっ放して、なかなかの迫力です。

 DSCN0386.jpg
 そして、このアミティビレッジを抜けると現れるのが、ハリーポッターエリア。
巨石のオブジェを目印に森の道に入っていきます。

DSCN0388.jpg
 しばらく行くと門があり、この門の向こうにはボグワーツ特急があります。

DSCN0387.jpg
 雪(?)をかぶった街並み。

DSCN0396.jpg
 ボグワーツ城。ここにあるのが「ハリーポッターアンドザフォービトンジャーニー」。ハリーポッターの世界を飛びながら体験できる楽しいライドです。
z003フライト・オブ・ザ・ヒッポグリフ
 森の中を走る「フライト・オブ・ザ・ヒッポグリフ」。ハリーポッターエリアにあります。
 この「フライト・オブ・ザ・ヒッポグリフ」はジェットコースターの苦手な人でも乗れる楽しいライドですが、USJには先程紹介しました「フライングダイナソー」や「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」という本格的なジェットコースターもあります。

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「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド」。このジェットコースターには後ろ向きに走るバックドロップというタイプもあります。

 USJには小さい子供も楽しめるユニバーサルワンダーランドというのもあります。
フライング・スヌーピー
 このエリアにはスヌーピーだけでなく、サンリオの人気キャラクター、キティちゃんもいます。
DSCN0419.jpg

 関西にお越しの際にはUSJにも行ってみて下さい。

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2018年07月21日 (土) | 編集 |
 ユニバーサル・スタジオ・ジャパンに入り浸り

 東のディズニーランドと並ぶ西のユニバーサルスタジオジャパンは日本を代表する(?)テーマパーク。このUSJの特徴はアメリカにある系列の映画会社作品だけでなく、日本の人気コンテンツも取り入れていること。そのためエヴァンゲリオンやワンピースをテーマにしたアトラクションやキティちゃんのようなキャラもパーク内を歩いています。

 医師からメタボ解消のため、もっと歩くように勧められた私は思い切ってUSJの年間パスを購入! 勤め先から環状線でわずか30分という距離にあるため、このところ週に3日程度通っています。最近はあまり新作小説も書けないので今日は、USJの案内でもしてみようかと考えました。


ユニバーサルスタジオジャパン・ゲート
 ユニバーサルスタジオジャパン・ゲート
上の写真は、その名も『ユニバーサルスタジオジャパン駅』から徒歩3分の場所にあるゲート。当日券はここで買えます。1日券は大人税込¥7,900、子供税込¥5,400だそうです。ちなみに年間パスは税込み¥23,800ということで何度も行ける場合はかなりお得です。

ゲート前広場
     ゲート前広場

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 入場口ではこのような地図も入った『スタジオガイド』が無料でもらえますので、忘れずにもらいましょう。この地図によれば左下から入場することになります。

入ってすぐの大通り
     入口付近の大通り

 歩くとまず見えてくるのは4D劇場。通常はシュレックがやってるんですが、クールジャパンイベントのセーラームーンがロングラン公演をしています。

セーラームーン4D
     セーラームーン4D

 その次にあるのは、やはりクールジャパンイベントのエヴァンゲリオンXRライド。ここは6月まではファイナル・ファンタジー・ザ・ライドになっていましたが、元々はスペース・ファンタジー・ザ・ライドの施設です。

エヴァンライド
 内容は室内ジェットコースターをヘッドマウントディスプレイで映像を観ながら冒険するというもので、かなりの迫力があります。期間限定のものではこれが一番のオススメです。

 この施設を越えると大きな建物が見えてきますが、これはターミネーター劇場をやっているサイバーダイン社と書かれた施設です。

ターミネーター劇場
     ターミネーター劇場
 このターミネーター劇場は常設ですが、中ではオートバイが走り回りサイバーダイン社のロボットが動き、4D映画ありと、かなり楽しめます。ここも外せないアトラクションです。

ミニヨン・ハチャメチャ・サプライズ
 突き当りには野外ステージがあり、なんだろうと思っているとミニヨンのハチャメチャサプライズというのが始まりました。うっかり観てると水鉄砲で水をかけられおかしな銃で雪をかけられますのでカメラ等を持っている人は注意して下さい。

 で、そこを逃げ出して右に歩くと見えてくるのはアメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド。

スパイダーマン・ザ・ライド
 これはハリーポッターのアトラクションと並ぶUSJを代表するライドで、内容は悪党だらけのものすごく危険な町を特殊な車で巡ってスパイダーマンの活躍を見るというようなものなのですが、この車には一度に12人も乗れるため、それ程待たなくても乗ることができます。何をおいてもこのライドには乗ってみて下さい。

 次回に続きます。
2018年06月19日 (火) | 編集 |
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  写真は記事とは関係のない、(かってに入ってきた外猫のハチワレ君です。

  【 方技官(改)・削魂谷 】 
 

 【 削魂谷 】

   我々、封魔方とは犬猿の仲である陰陽寮にあって、
一人擦り寄って来るのが次席方技官・土御門希沙良(つちみかどきさら)だ。

 もっとも、この男が我々の詰所(事務室)にやってくる場合は殆ど、やっかいな問題を押しつけに来る時といえた。

「八柱さん、また現れましたよ。疫病神が」十朱補佐官が私に耳打ちした。

「聞こえましたよ。十朱君」

資料を抱えた希沙良がこちらを見てニッコリ微笑んだ。

「くわばらくわばら」長身の十朱が首をすくめて別室に退避していった。

「で、どんな用だ? まさか菓子折りを届けに来たわけでもあるまい」

「八柱方技官がご希望とあればデパートから届けさせますよ。しかし、今日は重大な案件が発生したことを報告に参った次第」

「と、いうとウチへの依頼ではないんだな」

「この件は当方で処理せよということでしたから」

「聞こう」

 俺は来客用のテーブルに案内し見習いの女性職員に茶を頼んだ。

「実は削魂谷の封印が解かれました」

 希沙良がポツンと言った。

「何!? 誰がそんなことをした」

 俺は思わず気色ばんでしまった。それ程、これは大変なことだったのだ。

「我々ですよ。詳しく言えば陰陽寮統括の賀茂方技官です。上からの命令でしたので」

 平静を装ってはいるが、希沙良のカップを持つ手が震えていた。

「あれがどんなものかは陰陽寮は元より、政府も分かっているはず。それなのに賀茂さんは、あえて封印を解いたのか」

「命令でしたので」

「賀茂昇華(かものしょうか)、あのバカ女! いくら副長官の命令でもやっていい事と悪いことと……」

「とにかくご報告まで」

 そう言って希沙良は資料を置き、逃げるように帰っていった。

「八柱さん、やつの言っていた削魂谷とは何です?」 

希沙良が出て行くのを見届けて部屋に戻ってきた十朱が開口一番尋ねた。

「以前訪ねた庵本寺とは比較にならない程強力なパワースポットだよ」

「それが問題なんですか」

「扱い方によっては国家が揺らぐ。そういう場所だ。事後報告とはいえ、昇華が希沙良を寄こしたということは彼女なりに心配しているんだろう。とにかく現地に飛ぶぞ」


 俺達は市ヶ谷駐屯地から自衛隊のチヌーク(タンデムローター式ヘリコプター)で飛び立ち、すぐに現地に向かった。

 削魂谷は紀州山中を縦断する熊野古道から脇に逸れ、裏古道沿いに半日ほど歩いた場所にある谷で、ヘリコプターでも使わない限り、人間が容易に分け入ることはできない。

 物部文書の残された断片を元に調べると削魂谷は、邪馬台国以前、吉野三族が聖地として信仰の対象にしてきたが、あまりにも危険な為に、卑弥呼が禁則地と定め、後の大和朝廷でもそれが受け継がれたという。

「で、いったい何が危険なんですか?」

 十朱がヘリコプターの爆音に負けない大声で聞いてきた。

 彼もまた封魔方の補佐官である以上、教えないわけにはいかない。

 俺は対面に座る十朱を隣に来させ、他には聞こえないようにして、「安易に望みが叶う場所なんだ」と教えた。

「えっと……、すばらしいことなのでは?」

 十朱には、それが何故危険なのか、訳がわからないようだった。

「人は誰でも生存競争をしている。目標とした夢を叶えるには人一倍努力しなければならない。だからこそ、成功した人は尊敬されるし、逆に努力もせず怠けて落ちぶれた人は嘲りの対象となる。これが日本のみならず、世界中で教えられている道徳だ」

「それはそうですね」

「しかし実際にはそう単純なものじゃない。無論努力は必要だが、同じだけ努力しても誰もが同じ成果を得られるわけじゃないし、そもそも何かを目指して努力できる環境にある者と無い者がいる。人生というゲームには難易度が存在するんだよ」


 ハーバード大学のマイケル・サンデル教授も語るように、裕福な家の長男に生まれた者と貧しい家の末弟に生まれた者では受ける教育の質に差がある。あるいは義務教育が確実に受けられる、先進国に生まれた女性と、女子教育は悪だと考える国で生まれた女性では人生を切り開く力が、まったく異なるのだ。

 勿論、貧困の中から成功を勝ち得た者もいる。それは確かに努力した結果といえるだろうが、自身の手に負えないような邪魔は入らなかったという事でもある。例えば命ある物は道端のペンペン草でさえ生きる為の努力をするが、引き抜かれてしまえばそこで終わる。困難な中から成功した人もよく分析すれば、人生における数多くの分岐点で、不思議と助けが入った事で目的を達成した事に気付くだろう。

「つまり削魂谷というのは、人生の難易度を下げる能力があるんですね」

「単純に言えばそうだ」

 十朱が理解したように何度も頷いた。


 紀州は木の国とも呼ばれている。山深い渓谷に添う熊野・裏古道はブナ林に覆われ空からは見えなかったが、森の中に、100m四方の切り開かれた空間があった。通常のヘリポートよりかなり大きいが、全長30mのチヌークが離着陸できるように設計されているのだろう。そのヘリポートから一つ尾根を超えた削魂谷に続く山道は、既に舗装され、対向二車線のアスファルト道路になっている。

 その風景を俺は苦々しく見つめた。

 ヘリコプターの中で、削魂谷の基本的な特徴は説明したが、十朱はおそらく誤解していると思われるので、俺は送迎車に乗り込むと同時に説明を再開した。

「要するに、削魂谷に行けば願いが安易に叶う。知者であれば名を成し指導者となる。商人であれば大成功し大金を得る。戦士であれば武勲を挙げ、将となる。そういう力を訪問者に与える場所とも言える」

「すると削魂谷には、すごい神様がおられるんですね。その人のレベルを上げて強くする。だからこそ削魂谷が奪い合いの対象となり、卑弥呼が禁則地にしたと……」

 やはり十朱は本質を理解していなかった。

「いや、逆だ! 削魂谷に神はいない。そこにあるのは『虚(うつ)ろ』だけなんだ」

「へっ?」

「削魂谷は人が輪廻によって得た、隠された経験値を掃除機のように吸い取り、初心者に戻してしまう。すると、その瞬間に人生がやたら楽なものになる。初心者用のゲームは難しくないだろう?」

「あっ! 確かにRPGのド◯クエでも、レベルの低い者には、二、三発で倒れるスライム程度しか現れませんね。つまり人生が全く簡単なクソゲーになるという事ですか」

「生まれた家は裕福で、たいした努力をせずとも成績優秀。やたら人に引き立てられて出世する。そのうち自分は誰より努力した偉い人間だと考えて、他人に浅い説教を垂れ流す傲慢な輩になる。そうした実際は低レベルなのに野心を簡単に叶える人間が増えると、社会が混乱する。だから卑弥呼は削魂谷を禁則地とし、徳川も御三家の一つである紀州藩を置いて、他の大名がその力を使うのを防いだんだ」

 俺がそこまで説明を終えた時、車は削魂谷近くのパーキングエリアに到着した。

 そこは、つい先頃まで厳重に封印されていた禁則地とは思えないほど、大きく森が切り開かれ、売店や食堂が完成間近となっていた。また底が見えない程、深い亀裂である削魂谷を覆う形で立派な社殿が地元宮大工の手によって建てられていた。

「いつのまに……」

 俺はうなった。

「おや、これは封魔方の主席方技官殿。わざわざこのような場所までご苦労様です」

 その声に振り向くと陰陽頭・従五位の下陰陽寮統括の賀茂昇華が立っていた。

 1メートル60センチの俺より、背が低い彼女は顔立ちも若く20代前半に見えるが、実は36歳という落ち着いた年齢だ。気場を肌で感じる為という理由を付けているが、酒が入ると裸になるという露出狂(?)で、今も全身が透けて見える羽衣状の薄衣一枚という格好だ。

「よく寒くないな。ここの気温は10℃を下回るぞ」

 これから重大な詰問をしようというのに、俺の口から出た第一声がこれだった。

「ホホホ、さすがの八柱君も私の姿態に惹かれましたか? 明階位(神主の位)を持つ者は鍛え方が違いますので」

「ふん、それより何故だ?」

「秘密にしていたわけではありませんよ。周辺部から開発を進め、削魂谷本体の封印を解いたのは昨日ですから」

「そういう問題じゃない。どうして封印を解いたのかを聞いている」

「万策を尽くしても日本経済の成長率が伸びない為ですよ。政府は、有望な若い企業経営者をここに連れてきて幸運を授けようというのです」

 要するに、将来日本の産業を引っ張ってくれそうな人材に強運(?)を付けさせ、ひいては日本の経済を活気あるものにしてもらおうという戦略らしかった。

 卑弥呼や徳川の時代には天下を目指すものが多くいて内戦になると困るという事で封印したが、いまや日本は世界と経済戦をしているので国自体の底上げを計れると考えたのだろう。しかし、その犠牲になる若い企業人は……。

「それが何を意味するか分かっているだろうが。彼らのこれまでの輪廻転生が台無しになるんだぞ」

「いいじゃありませんか。誰もが菩薩を目指しているわけではありませんよ。人生を苦行で満たさず、何度生まれ変わっても初心者のフィールドで、面白おかしく生きればいいのです」

 そう言われると、そんな気もした。

 ただ、今でさえロクでもない低レベルの指導者が各界を牛耳り顰蹙(ひんしゅく)を買っているというのに、この先もっと酷くなるのでは? と、考えると頭が痛かった。

「少し不安は残りますが、老熟して動きの鈍かった日本も若々しい国に生まれ変わるかもしれません」

 遠い目で完成しつつある社殿を見つめる昇華の薄衣が風に吹かれ、お尻が見えた。

 いずれにせよ俺達にこのプロジェクトを止める権限は無い。黙って経緯を見続ける以外に無さそうだった。

 どうなることかと心配しつつ、その後の様子を見守っていると、社殿が完成するや、参拝客が続々と訪れるようになった。

 かなり偏狭の地なので、今の所たいしたことはないが、噂が噂を呼んで海外にまで最強のパワースポットと知られると、日本政府の思惑は外れるのではないだろうか。

「そうなれば世界の誰もが幸せになるかもしれませんね」

 十朱はのんきな事を言うが、その逆かもしれない。いずれにせよ誰もが簡単に成功してしまう世界はきっと、酷く退屈なものになるに違いない。



    
       (第四話・削魂谷 おわり)

   
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